猿の名がつく植物⑤エンコウカエデほか
こんにちは。二助企画です。
引き続き、サルの名がつく植物についてのお話です。
前回は、サルの名が付く植物の中でも、食べ物にまつわるものをピックアップしましたが、今回はおサルさんの「見た目」にまつわる名前を持つ植物について、取り上げていきます。
まず【猿面海老根(サルメンエビネ)】について。
【猿面海老根(サルメンエビネ)】の名前の由来は、漢字を読んで字のごとく。花の部分の唇弁(しんべん)が、赤みを帯びてしわが寄っているので、そこを猿顔に見立て、地上部と地下部をつなぐ偽球茎(ぎきゅうけい)の形をエビの背中に見立てたことに由来します。
ラン科の多年草で、日本各地の深山で見られますが、中国西南部、台湾、ヒマラヤ、ネパール、カシミールなど、アジアに広く分布しているそう。環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されている希少種です。
次に【猿猴草(エンコウソウ)】。
※画像は、ハナミズキの森「石井実生園」よりお借りしました。
【猿猴草(エンコウソウ)】は、本州の湿地に自生していますが、観賞用としても栽培されているので、見たことのある方も多いのではないでしょうか?黄色い可愛らしいお花が印象的ですね。
名前の猿猴とは、テナガザルのこと。長ーい花柄をテナガザルの手に見立てて、その名が付いたようです。
そして、同じく猿猴の名前が付くのが【猿猴楓(えんこうかえで)】
※写真は、庭木図鑑 植木ペディアよりお借りしました。
【猿猴楓(えんこうかえで)】は日本固有種で、北海道を除く太平洋側の山地に自生しています。春夏には明るい緑色の葉ですが、秋には、橙色や黄色に変色します。
名前の由来は、葉っぱの姿から安易に想像できますね。5~12センチになる長い葉柄をテナガザルの手に見立ててのことのようです。一方で「猿の手の甲=猿甲」を語源とする説もあるそう。
おサルさんは動物なので、その見た目に由来した名を持つ植物は、そう多くありませんでした。そこで今回は、おサルさんにまつわる植物の紹介(番外編)を少し。
これから蒸し暑くなる季節。近年では日本でも、ココナッツウォーターが人気ですね。このココナッツ、実はおサルさんと深い関係があります。
1つ目の関係は、その名前。
スペイン語でcocoは、「にんまり笑う、しかめっ面」という意味なのですが、ヤシの実の底にある三つのくぼみがサルの顔に似ているところから、「ココナッツ」という呼ばれるようになったそうです。
2つ目の関係は、ココナッツの収穫にまつわる話
ココナッツの木は成長すると、18m程になり、その実を収穫するのは非常に難儀。そこで活躍するのがおサルさんというわけです。実際にタイやマレーシアでは、ココナッツモンキーと呼ばれるココナッツ収穫のお仕事をしているおサルさんがいます。
1人の人間が1日に収穫できるココナッツはおよそ平均80個であるのに対して、おサルさんは、約600個から1,600個の収穫が可能であるという報告もあります。おサルさん達、とっても働き者ですね。
一方で世界に目を広げると、ココナッツの収穫について、おサルさんの働きに頼ることは、動物虐待にあたるという批判もあります。ここではその話題については、本題ではありませんので、詳細については割愛いたします。
私たちがお届けしている猿まわしも、ココナッツモンキー同様、時に批判の対象になることがあります。しかし私たちは、猿まわしは日本の誇れる伝統芸能のひとつとして、継承していくべき文化だと自負しております。
私たちがどのように、おサルさん達と向き合っているかについては、ぜひ過去のコラム14-16「二助企画とおサルさん」をご覧ください。
長くなりましたので、今回はここまで。
次回のコラムもお楽しみに。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
主な参考文献・サイト(順不同)
・尼崎市都市緑化植物園「緑の相談所だより」No.359>猿の名がつく植物>2015年12月1日発行
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.amaryoku.or.jp/files/file/fl00000109.pdf?1606790811
・山形市野草園
・川崎みどり研究所>カエデの園芸品種図鑑
https://kawasakimidori.main.jp/webzukan/momiji_p2.html
・庭木図鑑 植木ペディア>エンコウカエデ
・online etymology dictionary>coco
https://www.etymonline.com/jp/word/coco
・語源辞典 植物編/吉田金彦 東京堂出版
・ヘンな名前の植物-ヘクソカズラは本当にくさいのか-/藤井義晴 化学同人
・図説 花と樹の大辞典/木村陽二郎 柏書房
・和漢古典 植物名精解/木下武司 和泉書院
・サル その歴史・文化・生態/デズモンド・モリス 白水社
他