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おサルに願いを②恐れられるサル像とピエロとしての存在

芸能民俗学その他

こんにちは。二助企画です。

 

前回から始まった「おサルに願いを」シリーズ第2弾です。

 

前回は、アフリカのドゴン族のサルの仮面と福岡の猿田彦(さるたひこ)神社で売られるサルのお面、そしてサルの頭骨などを飾る習慣である東北地方の厩猿(まやざる)信仰について触れました。

 

今回、取り上げるのは同じアフリカのコートジボアール周辺に住んでいるバウレ族とダン族。

 

まずは、バウレ族について。

 

コートジボワール国内の民族集団の中では最大規模の人口を誇ることで知られているバウレ族。

 

彼らの間では、「サルの像」が重要な役割を担っています。

※「サル その歴史・文化・生態」/デズモンド・モリス 伊達淳訳 白水社より

バウレ族は、たくさんの彫刻をつくっているのですが、その中でも、サルの像は「ムブラ」「グベクレ」と呼ばれ、非常に強い力を持つとして恐れられているという特徴があります。

 

その影響力があまりに強大であるため、サルの像は専用の隠し場所や茂みの中など、人目に付かない場所に保管しておかねばならないというほど。

 

もし、適切な保管がされていないと、そのサルの像は、女性に危害を加えることがあると考えられているそうです。

 

では、それほどまでに恐れられるサルの像が、一体いつ使われるのか?

 

それは、成人式や農耕に関わる儀式の時。

 

サルの像は、強く恐れられている一方で、正しく敬意を払えば、豊作や狩りの成功をもたらしてくれる存在であるということです。

 

サルの像の中には、強い効果を期待して本物のサルの頭蓋骨をそのまま利用した彫像もあります。その大きさはさまざまで、なかには村全体を守る目的に作られた等身大のものもあります。

 

次に、ダン族について。

 

コートジボワール、リベリア、ギニアの3つの国が交差する地域に住むダン族。彼らの作る仮面は、アフリカ彫刻を代表する作品として世界中で人気があります。

 

ダン族におけるサル像・仮面の存在意義は、バウレ族とは大きく異なります。

 

バウレ族と同じように、サルの仮面は様々な儀式で使われるようですが、その理由は儀式を面白おかしくするためのもの。バウレ族と比較してとても陽気な雰囲気です。仮面をつけた者は、いわゆる村のピエロとしての役割を果たす側面があるとか。

 

前回お伝えしたドゴン族、福岡の早良区、バウレ族、ダン族と、同じ「サルの仮面や像」でも、場所が変われば、扱い方や存在意義が変わる。とても興味深いですね。

 

ところで、儀式ではありませんので「おサルに願いを」というテーマから外れてしまいますが、日本においてサルの仮面で思い出されるのは、猿聟(さるむこ)という和泉流の狂言。

 

この演目の特徴は、何と言っても登場人物全員が猿の面を付けて猿の言葉で話すということ!

 

日本の伝統芸能である狂言の中には、サルが登場する演目がいくつかあります。猿聟(さるむこ)の他にも、第1回目のコラムでは、靭猿は(うつぼざる)についてもご紹介しました。

 

儀式やエンターテイメントなど、はるか昔から伝わる文化の中に、こうしておサルさんの存在を見つけられることは、二助企画にとってなんだか嬉しいことです。

 

「おサルに願いを」シリーズ、まだまだ続きます!

 

二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。

猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。

ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

また次回のブログでお会いしましょう!

 

 

参考文献

・サル その歴史・文化・生態/デズモンド・モリス 伊達淳訳 白水社

・文化デジタルライブラリー>舞台芸術教材で学ぶ>能楽>狂言・能楽の歴史>猿聟

https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc12/enmoku/sarumuko.html

・文化遺産オンライン>狂言面 猿

https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/552533

 

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