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おサルに願いを⑦中国・西遊記の孫悟空

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こんにちは。二助企画です。

 

「おサルに願いを」シリーズ第7弾です。インド、インドネシアを経ていよいよ中国のお話。

 

中国のおサルさんと言われれば、誰もが思い浮かべるのが西遊記の「孫悟空」でしょう。(しかしながら孫悟空と言えば、日本のみならず世界でも大人気の漫画「ドラゴンボール」の主人公を思い出す方もいるかもしれません)

 

西遊記は中国で明の時代に書かれた長編小説であり(なんと100巻もあります)、厳密には、このコラム「おサルに願いを」というテーマからは外れます。孫悟空という破天荒なキャラクターは、絶大な人気を誇っていますが、ハヌマーンが崇拝されているように、人々が孫悟空に畏敬の念を抱いているとか、孫悟空を崇めているという要素はあまり見られません。

 

しかし

 

「孫悟空」には別名があります。その名は「斉天大聖(せいてんたいせい)」。天にも斉(等)しい大聖者という意味です。

 

実は孫悟空、この「斉天大聖」の名では、福建地方において崇められる対象となっています。また福建の宗教の影響を強く受けている台湾でも、斉天大聖廟(廟:びょう、死者を祀る宗教施設)があるそうです。

 

ところで今回、孫悟空について調べていたところ、古くから言い伝えられている物語に出てくる猿の「立ち位置」に注目した、興味深い一節を見つけました。

 

悟空は、三蔵法師とともに天竺に経典をもらいに行く旅で有名。孫悟空の活躍で、一行は困難に打ち勝ち、経典を得ることに成功します。昔話の「桃太郎」でも、鬼退治の旅のお供にサルがいます。サルは人間に似ていますが、人間にはない不思議な能力があると考えられていました。(國學院大學のウェブサイトより引用)

 

西遊記や桃太郎のように、おサルさんの力を借りて、主人公が成功を収めるというお話は、世界各国にありそうです。いつか、このあたりもしっかり調べて皆様にお伝えしますね!

 

 

そして今回、孫悟空とハヌマーンが関係することを裏付けるかのような写真も見つけることができました。

 

アジアの猿のお面を展示した日本玩具博物館のサイトで、アジア各国の猿のお面が紹介されています(日本玩具博物館>ブログ>アジアの猿面-「世界の仮面と祭りの玩具展」)。インドの猿のお面と中国の猿のお面は、お面のメインカラーが赤でとても良く似ており、ハヌマーンが孫悟空のモデルである説を強く感じ取れます。

 

 

(孫悟空のお面(中国)ハヌマーンのお面(インド)/画像は日本玩具博物館のサイトより拝借)

 

 

ちなみに、書籍では孫悟空はカンボジアで「ハヌマーン孫悟空」と呼ばれているという一文も見つけました。ハヌマーンと孫悟空の関係については、『孫悟空の誕生~サルの民話学と『西遊記』(中野美代子著・玉川大学出版部・1980年刊)が、参考になるようです。

 

さて、孫悟空の話ばかりになりましたが、中国とおサルさんといえばまだ触れておきたい、別のお話があります。次回も引き続き中国のおサルさん信仰についてお話しますね。

 

二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。

猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。

ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

また次回のブログでお会いしましょう!

 

 

参考文献

・世界動物神話/篠田知和基 八坂書房

・サル その歴史・文化・生態/デズモンド・モリス 伊達淳訳 白水社

・國學院大學>國學院大學メディア>天孫を導いた神-サルタヒコ

https://www.kokugakuin.ac.jp/article/142336

・関西大学 関西大・二階堂研究室>アジアの民間信仰と道教>中国民間神紹介>斉天大聖

http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~nikaido/qitian.html

・日本玩具博物館>ブログ>アジアの猿面-「世界の仮面と祭りの玩具展」

https://japan-toy-museum.org/archives/7539

 

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