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ニホンザルのおはなし(お顔・お尻・しっぽ編)

文学その他

こんにちは。二助企画です。

今回は、二助企画の主役のお猿さん達、ニホンザルのお顔とお尻、しっぽについてのお話。

 

皆さんは、ニホンザルと聞けばどんな姿をイメージしますか?お顔やお尻が赤くて、しっぽが、ながーい!というイメージ、ではないでしょうか?

 

でも、それはあくまで「イメージ」なんです。

 

実際に、赤ちゃんニホンザルや若いニホンザルのお顔は薄桃色。お顔がしっかり赤いのは、大人のニホンザルなのです。ちなみに、繁殖期(11月~3)にはオス・メスともに、体内の性ホルモンの分泌が活発になるため、赤みが増します。

 

だから、二助企画で活躍中のおサルさん達も、お顔の赤さはそれぞれ。すべてのニホンザルのお顔とお尻が赤いわけではありません。

 

では、そもそもなぜニホンザルのお顔とお尻は赤いのか?

 

この答えは実にシンプル。「顔とお尻の皮膚が薄く、皮膚の下の血管が透けて見えているから!」なのです。

 

血管の数や血流は、成長することで数が増えていきますね。だから、小さいおサルさんのお顔やお尻はそんなに赤くないのです。つまり、お顔やお尻の赤さは、成長と共に増していくということです。

 

また一方で、ニホンザルは色を識別することができるので(この話はまた、別の機会に)、目立ちやすい赤色は仲間を見分けるために、役立っているという見解もあります。

 

そして、しっぽについて。

 

長いしっぽを木の枝に巻き付けて、ぶらーんと遊んでいるおサルさんのイラストを見かけることはありませんか?

 

あれも実は、イメージ!

 

実は、長いしっぽを「手のように自由に使える」サルは、南アメリカに住んでいるクモザルくらいなのです。

 

実際のニホンザルのしっぽは、とっても短い!

 

そして、これにもちゃんと理由があります。

 

それは、とても寒いところに棲んでいるから。人間もそうですが、手足の指先など、身体の末端ってとても冷えますよね?しっぽも同じ。しっぽが長いとそこから熱が奪われて、凍傷になってしまうから、短くならざるを得なかったということなのです。

 

形態学的には、しっぽが短いことが「ニホンザルの最大の特徴」と言われています。ニホンザルは近縁種に比べて尾率(頭胴長に対する尾長の割合)が、非常に小さいのです。

 

ニホンザルの尾率は、なんと18%。ニホンザルに非常によく似ているアカゲザルでも、46%ということなので、ニホンザルのしっぽの短さが、おサルさん仲間の中で、いかに特徴的なのかがわかりますね。

 

ちょっと角度を変えてみて。

 

おサルさんのお顔やお尻がなぜ赤いのか?どうしてしっぽが短いのか?については、たくさんの絵本でも取り上げられているテーマ。

 

二助企画が、ざっと調べただけでも、

 

ふるやのもり/再話:瀬田貞二 絵:田島征三 出版社:福音館書店

さるとびっき/再話:武田正 絵:梶山敏夫 出版社:福音館書店

 

が挙げられます。

 

この他にも、岡山や佐賀をはじめ日本の各地の民話集で、おサルさんのお顔やお尻が赤い、しっぽが短い理由がおもしろおかしく取り上げられています。

 

最後に、おサルさんのお尻が出てくることわざについて。

 

「さるの尻笑い」ということわざがあります。

 

その意味は

 

(猿は自分の尻が赤いのも知らずに、ほかの猿たちの尻を見て笑うところから)自分の欠点や短所に気づかずに、他人を嘲笑(ちょうしょう)することの愚かさをいう。(以上、imidasから引用)

 

ちなみに、同じ意味で「さるの柿笑い」「さるの面笑い」という表現もあります。

 

おサルさんに関することわざは、とてもたくさんあるので、別の機会に取り上げたいと思いますが、「おサルさんのお尻」だけに注目したことわざがあるとは、なんとも面白いですね。

 

 

 

二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。

猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。

ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

また次回のブログでお会いしましょう!

 

 

 

主な参考文献・サイト(順不同)

・日本各地の動物園のサイト

・情報・知識&オピニオン imidas>日本語辞典>会話で使える日本語辞典

https://imidas.jp/

・ふるやのもり/再話:瀬田貞二 絵:田島征三 出版社:福音館書店

・さるとびっき/再話:武田正 絵:梶山敏夫 出版社:福音館書店

・動物故事物語/實吉達郎著 出版社:河出書房新社

・新しい霊長類学/京都大学霊長類研究所 出版社:講談社

・ニホンザルの生態/河合雅夫著 講談社

 

ほか

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