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ニホンザルのおはなし(視力編)

言葉その他

こんにちは。二助企画です。

 

前回のブログでは、ニホンザルのお顔についてのお話でしたが、今回はお顔にある「目と視力」のお話です。

 

木から木へ、さっと軽やかにジャンプを披露してくれるイメージのあるニホンザル。

 

彼らが、あんなにも上手に移動できる理由のひとつに、「視力」の秘密があります。

 

おサルさん達は、ニホンザルに限らず、眼球の周りが骨に囲まれています。だから、他の哺乳類よりも目の動きが安定しているんです。目の動きが安定すると、自分とモノの間の正確な距離を把握することができます。

 

そしておサルさん達は、人間のように両目が前を向いていますね。従って、モノを立体的に捉えることができます。生後26か月のニホンザルの赤ちゃんを対象に行われた実験では、赤ちゃんの頃から、「影」を認識していることが明らかにされていて、三次元の形や動きを見ていることが分かっています。

 

更にニホンザルは、人と同じように「色」が見えるんです!これまでの調査で、ニホンザルは人と同じ色覚を持つと言われています。

 

私たち人間とニホンザルは、同じような世界が見えているのですね。

 

ちなみに、ニホンザルに鏡を見せたらどうなるか?おサルさん達は、鏡に映るサルが自分であるという認識を持つのでしょうか?

 

その答は「NO」です。

 

過去の実験から、チンパンジーやゴリラ、オラウータンは、「鏡に映っているのは自分という認識がある」というに結果が得られていますが、サルについては、同様の結果が得られていないそう。

 

「鏡に映った自分が分かる」ためには、視力だけでなく認知の問題が絡んでくるようですね。

 

ところで、「目」自体について少し触れておくと、私たち人間とサルを含む霊長類を区別するのに、特徴のひとつに「白目」の存在があります。

 

ヒト以外の霊長類には白目がなく、白目があるのは人間ならではの特徴。

 

正確にはニホンザルについては、白目が無いわけではないのですが、眼瞼裂(がんけんれつ:上まぶたと下まぶたの裂け目の部分)からほとんど露出していないので、客観的には「無い」と言える状態です。

 

これはなぜか?

 

一説には、「視線を仲間や捕食者に悟られないようにするため」という考えがあります。

 

白目があると、黒目の動きが顕著になるため、どこを見ているか分かりやすい。つまり、どこを見ているかを相手に気づかれたくない、ということですね。しかし、様々な領域から考察すると、上記の説が正解と言い切ることは難しいようです。

 

ニホンザルでいうと、相手の顔を見ることができるのは強いサルの特権です。つまり仲間同士で見つめ合うことができない。

 

一方で、同じ霊長類でもゴリラやチンパンジーは、見つめ合うという行為をします。しかし、白目が無いから目の動きが分かりにくい。だから、顔と顔をとても近づけて、覗き込むように見つめ合うのですね。

 

最後に、「猿目」(さるめ)という言葉について。

 

「猿の落ちつかない目つきのように、ひそかに人のようすを盗み見る目つき。」のことを猿目と言います。(デジタル大辞泉より)

 

キョロキョロとしながら、密かに様子を伺うようなシーンで使われる言葉ですね。

 

私たち人間は、視線でコミュニケーションを取れる生き物。できれば、猿目はしないように、堂々と視線を交わして人とお付き合いをしていきたいものです。

 

 

 

二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。

猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。

ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

また次回のブログでお会いしましょう!

 

 

 

主な参考文献・サイト(順不同)

・講談社 動く図鑑「動物」P161、178

・新しい霊長類学/京都大学霊長類研究所 :講談社

・ニホンザルの生態/河合雅夫著 講談社

・僕たちが何者でもなった頃の話をしよう/山極壽一ほか :文春新書

・株式会社メニコン コンタクトレンズコラム

https://www.menicon.co.jp/whats/column/detail27.html

ほか

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