世界のサルのことわざ。その1
こんにちは。二助企画です。
今回はサルにまつわるコトバのお話。
日本には、おサルさんにまつわるコトバがたくさんあるのですが、
それは世界でも同じ。
どこの国でも古くから、人間とおサルさんは、親しみを感じる仲であった証拠なのでしょうね。
皆さん、日本のことわざについては、たくさんご存じかと思いますので、
今回は、世界に目を向けておサルさんがモチーフとなっている「ことわざ」を、
いくつかご紹介いたします!
■ポーランド
「私のサーカスではないし、私のサルでもない」
ポーランドでは、「話しても仕方ない」という言いたくなるような場面で、このことわざを使うそうです。つまり「それは、私の問題ではないよ」という意味。話し相手に、自分がその問題から手を引くということを、不満気に伝えたいような時に使うとのこと。
確かに「それは私の問題ではない。私には関係ないよ」とダイレクトに伝えるよりも、「私のサーカスではないし、私のサルでもない」という表現の方が、柔らかい表現でちょっとチャーミングな印象ですね。ちなみに、このことわざ、古い民話に由来しているのではなく、現代のものだそうですよ。
■インド
「猿はショウガの味を知っていようか」
「良いものを、価値を分からない人に与えても無駄」という意味です。インドでは、カレー料理に生姜をよく入れますね。生姜はスパイスの1つとして、とても重要な役割を果たします。いくら大事な生姜でも、サルには生姜の大切さが伝わらない、ということです。日本語のことわざでは「猫に小判」「豚に真珠」といったことわざが同じ意味に該当しますね。
知能や言語能力で大きな差があるヒトとサル。その差の違いには、「味覚の差」が関係しているのだとか。ちなみに、ニホンザルはヒトでは甘みを感じられない程度の麦芽糖でも、ショ糖(スクロース)と同じくらいの甘みを感じることが実験の結果で明らかになっています。
■中国
「山に虎がいないと猿が王様だという」
虎とは、「強者」の象徴ですね。強い虎が居ない場では、実力のないサルが威張り出す。という意味のことわざです。日本のことわざに置き換えると「鳥なき里のコウモリ」といったところ。優れたものや本物のいないところでは、つまらない者がえらそうにふるまう例えですね。
ちょっと面白いのが、中国では虎がいないとサルが威張り出すのに対し、韓国では、虎がいないとウサギが先生のように振る舞い出すのです。韓国には「虎のいない谷では兎が先生だ」ということわざがあります。この場合、ウサギが弱い・未熟な者の例えとなっています。どうして韓国ではサルではなく、ウサギなのか……。
実は、朝鮮半島にはサルが生息していないのです!だから、サルじゃなくてウサギがことわざに用いられたのかもしれませんね。
今回は、3つのことわざを取り上げましたが、まだまだ、たくさんある「世界のサルのことわざ」。引き続き、こちらのコラムでご紹介をできたら、と思っています。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
主な参考文献・サイト(順不同)
・誰も知らない世界のことわざ/著)エラ・フランシス・サンダーズ/訳)前田まゆみ/創元社
・世界のふしぎなことわざ図鑑/著)北村孝一著/イラスト)伊藤ハムスター/株式会社KADOKAWA
・味博士の研究所「【味博士の味覚コラム】サルとヒトの味覚」
https://aissy.co.jp/ajihakase/blog/archives/2358
・京都大学>最新の研究成果を知る ニホンザルの甘味受容体がすごい -ヒトが感じられない麦芽糖の甘みにも敏感-
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2016-12-26-0
ほか