人とサル(海外編)
こんにちは。二助企画です。
前回は日本人とサルの関係性についてご紹介しました。今回は、ちょっと視野を広げて、海外に目を向けていきます。かつて、The Naked Ape(邦題:『裸のサル』)というベストセラーを産み出したイギリスの動物学者、デズモンド・モリスの著書「サル その歴史・文化・生態」を頼りに、日本以外の国の人とサルの関係についてご紹介していきます。(今回のコラムのサルは、ニホンザルを意味しません)
イギリスでは、チューダー朝時代(1485年-1603年)に、サルがペットとして、可愛がられていたことが分かっています。当時、サルを入手するのは困難だったため、サルを飼っているということは、地位の高さの証明にもなっていたそうです。
当時の肖像画を見ると、エリザベス1世、キャサリン・オブ・アラゴン、エドワード6世が、サルを飼っていたようです。これらのサルは、犬のクマ狩りや牛攻めの訓練にも活躍していたとのこと。また、エリザベス1世はその幼少期に、サルにテニスを教え込もうとした記録があります。
19世紀には、動物学者であり、政治家・貴族であった第二代ロスチャイルド男爵が、バッキンガムシャー州に構えていた大邸宅で、日ごろからペットのサルたちと一緒に食卓を囲んでいた話が有名です。彼は政治的にも重要な晩餐でも、十二頭の着飾ったサルたちのために、小さな席を用意させて招待客を驚かせたというエピソードがあります。
「ゲルニカ」で知られるスペインの画家、パブロ・ピカソも、若い頃、ペットとしてサルを飼っていたそうです。彼は、その長いキャリアの中で、実はかなりたくさんのサルを描いています。サルをペットにしていた芸術家には、ピカソの他にも、ポール・ゴーギャンが挙げられます。
アメリカでも、ハリウッド女優メイ・ウエストが何匹ものサルをペットとして、我が子のようにかわいがっていたようです。また、1950年代のアメリカの新聞広告では、リスザルをペットとして売り出す広告が掲載されてました。人間の手のひらにちょこんと座る可愛らしいリスザルのイラストが添えられた広告の説明文には「食べる物は、私たちと同じ(ロリポップやキャンディも大好き)という表記が!!時代を感じますね。
現在では、多くの国で、家庭ではサルをペットとして飼わない傾向にあります。
その理由は複数ありますが、大きく2つ。まず、サルは、運動能力に長けた動物であり、一般家庭では彼らにとって適切な環境を用意するのが困難であること。そして、生物学的に人とサルは非常に「近い」ため、サルは人が持つ病原菌に感染しやすいこと。その逆も然り、です。従って、サルをペットとして飼うことを禁止している国も多く見られます。
今回は、日本だけでなく海外でも、サルが愛情を注ぐ対象としてみられてきたことをご紹介しました。実は、逆のパターン、嫌われ者としてのサルの歴史もあるのですが、書いていると悲しい気持ちになってしまうので、見送ります。
そして最後に触れた、サルを飼育するには、それなりの設備や、知識が必要である点。こちらについて、次回以降のコラムでは、二助企画が「プロ」として、おサルさんたちの生活をどうサポートしているのかについて、お話していきます。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
主な参考文献・サイト(順不同)
バルセロナウォーカー>2023年夏 最新版完全開設 ピカソ美術館
サル その歴史・文化・生態/デズモンド・モリス 伊達淳訳 白水社
ほか