サルと他の動物との関係
こんにちは。二助企画です。
前々回は日本人とサル、前回は、日本以外の国の人とサルの関係についてご紹介しました。前回のブログの最後に、次は、二助企画とおサルさんの関係についてご紹介すると、予告したのですが、ちょっと予定変更。今回は、サルとヒトではなく、サルと他の動物の関係についてのお話です!
他の動物との関係、という言葉で最初に思い浮かぶのは被食-捕食関係(食われる-食うの関係)だと思います。
サルを捕食する動物としては、ヘビ、ワシ、タカ、ヒョウ、そして同じ霊長類のチンパンジーが挙げられます。
一方で、サルの捕食の対象は多岐にわたります。昆虫やクモ、小動物、鳥や爬虫類、そして小型の哺乳類などがその一例。猿は様々な環境に適応し、豊富な食物源を利用して生き延びています。
サルの捕食行動について、これまでに注目を浴びたニュースがいくつかありますが、ここで2点ほどご紹介。
1点目は、2015年に報道された、ライチョウの件。
国の天然記念物のライチョウのヒナが、ニホンザルに捕食されていることが確認されています。以前のブログでもお伝えしたように、ニホンザルは基本的には、草食。それなのに、ライチョウのひなを食べていた!という驚きのニュースでした。ニホンザルは、群れによって、食物習慣・認識が違いますが、絶滅の危機に瀕しているライチョウを食べるという認識が、他の群れにも広まってしまったら、ライチョウの保存の観点から大打撃を受けることになるという指摘があったようです。
2点目は、2021年に発表された、上高地のニホンザルが魚類を捕食するという報告。
これまで「離島では、漁師が放棄した海産魚類や打ち上げられて魚類(死体)を二ホンザルが摂食する事例は知られていますが,自然状況下でニホンザルが魚類を捕食する事例はなく,猿類としても世界で初めの知見」だったそう(プレスリリースより。参考文献参照)。オランウータンでは淡水魚を捕獲・捕食する行動が報告されていましたが、猿類の魚類の捕食に関しては「驚くべき結果」と表現されています。研究が進めば、人類の進化の過程において、また新しい発見があるのかもしれませんね。
最後に、食うか、食われるか!という緊張する関係性ではなく、ちょっとほっこりする話題を。
ニホンジカとニホンザルの関係についてです。
ニホンジカには「落ち穂拾い行動」と呼ばれる動きが確認されています。サルが木の上で食べていた果物や葉っぱを落とした時に、それを食べに集まってくることを指します。サルとシカが食物を巡って一種の共存関係を築いている、とも言えるような気もしますが、おサルさんがシカに一方的に利用されている!なんていうという指摘も。どちらにしても、そんな光景を目にしたら、思わず気持ちが緩んでしまいますね。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
主な参考文献・サイト(順不同)
・日本鳥学会誌「クマタカによるニホンザルの捕食」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjo1986/47/3/47_3_125/_pdf/-char/ja
・霊長類研究 特集 霊長類を巡る種間関係 採食行動の比較からツキノワグマとニホンザルの種間関係を考える
https://www.jstage.jst.go.jp/article/psj/29/2/29_29.013/_pdf
・プレスリリース:世界最寒地(上高地)に生きるニホンザルの独特の越冬戦略:
魚類や水生昆虫類など、河川に棲息する動物に依存する世界初の新知見
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p20211130140000.pdf
・新しい霊長類学/京都大学霊長類研究所 出版社:講談社
・産経新聞
https://www.sankei.com/article/20150831-TQT2IP3BGZMABHZTURPFLLQPMY/
ほか