二助企画とおサルさん(環境エンリッチメントについて)
こんにちは、二助企画です。今回のブログからは、二助企画とサルの関係、つまり、二助企画がおサルさん達とどんな風に関わっているのか、について数回に分けてご紹介していきたいと思います。
まず二助企画に、どうやっておサルさん達がやってくるのか?
という点について。
今、二助企画では、40頭のおサルさんたちを飼育しています(2023年7月現在)。そのうち、トレーナーとコンビを組み、日々パフォーマンスを披露しているのは18頭。それぞれのおサルさん達は、施設から譲り受けてきたり、群れからはぐれた際に保護されたり、それぞれのストーリーを持っています。中には、ニコちゃんのように二助企画の暮らしの中で新しく誕生したおサルさんもいますよ♪
次に、だいたいどれくらいの期間を二助企画で過ごすのか?
について
来所して環境に慣れてから、トレーナーとおサルさんとの相性をみてコンビを組み、そこから練習を開始します。そして半年〜1年後くらいにデビューを果たします。おサルさん達が、パフォーマーとして活躍する期間は、それぞれ。現役を引退したおサルさん達は、二助企画が運営する大型の引退施設で、のんびりと暮らしています。
引退施設は、福岡県糸島市の大自然の中にあります。ここでは「環境エンリッチメント」に取り組んでいます。例えば、コンクリート床ではなく土の上にもみを敷いた地面を設置。安全面と快適さを追求しながら、自然環境に近い施設運営を行っています。
さて、上述した「環境エンリッチメント」という言葉について。
二助企画で、とても大切にしている考え方なので、今回のブログでは、「環境エンリッチメント」について、少しお話させていただきますね。
「環境エンリッチメント」とは、、、
「飼育動物の正常な行動の多様性を引き出し、異常行動を減らして、動物の福祉と健康を改善するために、飼育環境に対して行われる工夫」のことを意味します。
もともとアメリカで生まれた概念です。日本においては、1999年に松沢哲郎氏が、東京動物園友の会発行の雑誌「どうぶつと動物園」の中で、「Environmental Enrichment」を「環境エンリッチメント」と和訳し、同年川端裕人氏による「動物園にできること」が出版されたことで、高い関心を得ることとなりました。
日本において「環境エンリッチメント」がどのように広まり、また具体的にどんな取り組みが行われているのかについては、日本モンキーセンターの特設ページ(文末参考文献リスト参照)で、非常に分かりやすく紹介されています。ご興味ある方は是非、ご覧いただければと思います!
さて、この環境エンリッチメント。下記5つの視点でとらえられています。
1)採食エンリッチメント:採食行動に関する視点から野生に近づけようという取り組み
2)感覚エンリッチメント:「五感」を活かした取り組み
3)空間エンリッチメント:野生での生息環境を参考に、動物たちがくらしやすい空間づくり
4)社会エンリッチメント:飼育下でも可能な限り野生に近い形での社会の再現を目指す
5)認知エンリッチメント:単調になりがちな飼育間環境を認知の面から豊かにする
二助企画では、すべての視点についてのエンリッチメントを意識して、日々のおサルさんの生活環境を整えていますが、特に重要視しているのは、社会エンリッチメントについて。
次回は、社会エンリッチメントの視点を軸に、二助企画とおサルさんの関係について、お伝えしていきますね!
ちなみに、二助企画のウェブサイトでは、先ほどご紹介した、福岡県糸島の引退施設の様子をご覧いただけるYouTubeの動画をアップしています(https://youtu.be/sOgihioU5fQ)!こちらも見ていただけると嬉しいです。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
主な参考文献・サイト(順不同)
市民ZOOネットワーク
http://www.zoo-net.org/enrichment/outline/
公益社団法人日本動物福祉協会
日本動物園水族館協会
日本モンキーセンター特設ページ
(https://sites.google.com/view/jmc-fr/About-JMC/Enrichment)
ほか