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「猿」がつく地名のおはなし②(アイヌ語由来の地名)

言葉地理

こんにちは。二助企画です。前回は「猿」がつく地名について、古語の「ズレる」から転訛した地名についてご紹介しました。今回はアイヌ語由来の地名についてのお話です。

 

アイヌ語で「サル」は「葦原」のことだそう。アイヌと言えば、北海道。余談ですが、北海道と言えば、野生のニホンザルがいないことで有名ですね。

 

ニホンザルの野生生息地は、北海道を除くほぼ日本全域と言われていますが、なぜ北海道にはニホンザルがいないのか?(札幌市の円山動物園、旭川市の旭山動物園など、動物園にはサル山があり、飼育されているニホンザルはいますよ!)

 

その答はブラキストン線。

 

ブラキストン線とは、津軽海峡を通る動物相の分布境界線です。この線を境に動物の生息、生育している生物の種類が変わるのです。つまり、ニホンザルは津軽海峡を渡ることができなかったのですね。

 

しかし!

 

オモシロイことに、北海道には、「猿」の言葉の入る地名がいくつかあるのです。

 

例えば

 

・苫小牧の東の沙流(さる)

・網走の東の斜里(しゃり:読み方がサルに近い)

・帯広の東の猿別(さるべつ)

・稚内の東南の猿払村(さるふつむら)、猿骨(さるこつ)

 

など。

 

そう。これらは、すべてアイヌ語で葦原、湿原、沼地、泥炭地を意味する「サル」が由来なんです。「猿」という漢字は、後から当てたようです。動物のお猿さんとは関係が無いのですね、、

 

ただ、「日本最北の村」で知られる猿払村は、ご当地キャラクターとして“さるっぷ”という可愛らしいお猿さんが、活躍しています。

 

ところで、北海道には「さる」という言葉が入った、便利な方言があるとのこと。その使い方は、

 

「意思に反して」「わざとではなく」「意図せずに」「不可抗力で」「勝手に」「そのつもりではなく」「状況ゆえに自動的にそうなる」ということを伝えたいときに使います。また、「○○できる」「可能である」という意味でも使われます。(北海道ファンマガジンより)

 

とのこと。

 

例えば、スマホなどで目的のアプリではなく隣にあるアプリなどを触ってしまった時などに、「押ささっちゃった」などと使うようです。「ダイエットしたいのに、ついついお菓子を食べらさる」のようにも使われることも。声に出してみると、響きが可愛いらしく、責任を手放している感じが妙にキュートだなと思うのは、二助企画だけでしょうか?

 

次回は、また別の角度から、「猿」がつく地名のお話を続けさせていただきますね。

 

二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。

猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。

ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

また次回のブログでお会いしましょう!

 

 

主な参考文献・サイト(順不同)

・あぶない地名-災害地名ハンドブック-/小川豊 三一書房

・続日本の地名-動物地名をたずねて‐/谷川健一 岩波新書

・地名苗字読み解き事典/丹羽基二 柏書房

・災害・崩壊・津波地名解-地名に込められた伝言/太宰幸子 彩流社

・島の名前 日本編/中村庸夫 東京書籍

・日本の地名-60の謎の地名を追って-/筒井功 河出書房新社

・川の百科事典/編集委員長 高橋裕 丸善株式会社

・北海道ファンマガジン  https://hokkaidofan.com/saru/

 

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