「猿」がつく地名のおはなし④(言い伝えのある地名:猿江など)
こんにちは。二助企画です。
「猿」がつく地名について、前回の「猿島」に引き続き、言い伝えのある地名についてのご紹介です。
山梨県大月市に「猿橋」(さるはし)がありますね。こちらの由来は、沢山の猿がつながりあって対岸へと渡っていく姿から、という俗説があります。
東京江東区の「猿江」(さるえ)という地名には、戦国時代に源頼義による奥州征伐時に、名付けられたという説が。当時、武勇の士と讃えられ、多くの手柄を立てた『猿藤太』(さるのとうた)という武将が、この地の入江で、最期を迎えたことにより、『猿藤太』の「猿」と入江の「江」の字から、「猿江」という地名が成立したという言われがあるそうです。
この猿江には、猿江神社があるのですが、ここがまた興味深い。旧社殿が関東大震災にて焼失した後、昭和六年に宮内庁設計技官の設計により、当時としてはとても珍しい頑丈優美な神社として再建されました。国内最古のコンクリート造社殿と言われています。境内には、猿とゆかりの深い「馬」の字を含む馬頭観音社があり、旅行・交通安全、又、競走馬関係の参拝も多いとのこと。かわいらしい神猿像も人気のようです。
ところで、猿のつく地名について調べていたところ、面白い説に出会いました。なんと、かつて猿と河童は同一視されていた、というのです。実際、中国、四国の方言では、猿猴(エンコウ)は、猿のことではなく、河童を意味するとのこと。例えば、山口県下関市(旧豊浦郡菊川町)にある猿猴塚には、猿にまつわる言い伝えではなく、河童にまつわる言い伝えが残されています。
また、柳田国男の「山島民譚集」には、中世に河童を河猿とか淵猿と呼ぶ時代があったと記されています。広島市には猿猴川という川があり、その名前の由来も河童にあり、愛媛県松山市猿川は、河童が住む川という意味だそうです。
過去のブログでは、猿と鳥、魚、ニホンジカなどの関係について触れましたが、おサルさんは河童ともこんな繋がりがあるとは意外ですね。まだまだご紹介したい地名がありますが、長くなりましたので今回はここまで。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
主な参考文献・サイト(順不同)
・日本の地名の意外な由来/日本博学倶楽部/PHP研究所
・続日本の地名‐動物地名をたずねて‐/谷川健一/岩波新書
・猿江神社
・大月市観光協会
https://otsuki-kanko.info/category/content-page/view/31
他