ニホンザルの赤ちゃんについて
こんにちは。二助企画です。
前回は、ニホンザルの出産についてのお話をいたしました。今回は、ニホンザルの赤ちゃんについて、あれこれご紹介していきます!
前回のコラムで触れたように、ニホンザルの赤ちゃんは、春に生まれます。早くて3月。遅ければ7月に生まれることもあります。
ちなみにあるデータによると、生まれてから一年以内に死亡する赤ちゃんの割合は26%にのぼります。自然界とはとても厳しいものですね。
生まれたての赤ちゃんサルの体重は、500g前後。毛の色が薄く顔は白い(以前のコラムで、ニホンザルのお顔が赤いのは、成長の証!とご紹介しましたね)のが特徴。しかし、ニホンザルでもヤクザルの赤ちゃんは黒い毛をしています。
人間の赤ちゃんは、生まれてすぐは寝ていることが多いですが、これはおサルさんも同様。おサルさんの赤ちゃんは生後1週間以内は、1日のうち十数時間眠っていて、20分おきに排便します。ただ人間の赤ちゃんと違って、赤ちゃんサルは、生まれた時から目が開いています。明暗は分かるようで、生後5日目には、追視が可能なようです。
生まれてすぐに、歩くことはできません。以前もお伝えしたように、人間でいう「ずりばい」を始めるのは生後3日目から。なんとなく足を使いだすのは、7日目くらいからで、歩き出すのは20日目頃からです。
しかし、足をうまく使えるようになるには、しばらく時間を要します。最初は、両足でぴょんぴょんと、カエルのような跳び方をすることがほとんど。カエルとびは生後6か月くらいまで見られます。長い時間をかけて、後ろ足を動かす練習をするのです。
一方で、生まれてすぐから手の力はとても強く、母ザルの胸にしっかりと捕まってお乳を吸います。赤ちゃんがお乳を飲むのは、1年ほどの期間。ただし、実際にお乳が出ているのは、6-7か月ころまでのようで、その後はただ乳首を加えているだけという行為のようです。
生後1週間で、歯が生え始めており、生後20日頃にはなんでも口に入れてしゃぶるようになります。固形物を嚥下するようになるのは、生後3か月頃から。この「食べ物を飲み込む」ということは、成長の重要なポイント。母乳以外のものを摂取できる=自分で食べ物を取ることが可能、ということで、独立への第一歩を踏み出したと捉えられます。
赤ちゃんは眠っている時、自然と母ザルを掴む手がほどけてしまいますが、母ザルは注意深く赤ちゃんを抱き続けます。母ザルの赤ちゃんへの配慮はかなり深く、赤ちゃんが歩き始めたころも、3-4メートル以上遠くに行くのは許しません。少しでも変わったことがあると、すぐに抱っこして赤ちゃんを自分から離さないという行動をとります。
しかし、生後1か月には、赤ちゃんサルは、赤ちゃんサル同士で戯れるようになります。この頃には母ザルの声が聞き分けられます。
ここまで、赤ちゃんサルの身体の成長についてご紹介しました。人間とは異なる成長曲線を持つニホンザルですが、成長のステップは人間とかなり近いように感じられますね。
次回は、心の成長についてのお話をします。なんと、人間と同じようにニホンザルの子どもにも反抗期があるのです!しかもそれは、生後80-100日の頃。つまりまだ赤ちゃんの頃なのです。次回、その詳細についてお伝えします。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
主な参考文献・サイト(順不同)
・ニホンザルの生態/河合雅夫著 講談社
・新しい霊長類学/京都大学霊長類研究所 出版社:講談社
・ニホンザルの季節繁殖リズムの発現機序/霊長類研究 野崎眞澄
・京都大学人類進化論研究室>発達
https://jinrui.zool.kyoto-u.ac.jp/FuscataHome/hattatsu.html
・地獄谷野猿公苑>ニホンザルの一生
https://jigokudani-yaenkoen.co.jp/contents/detail?id=125
・地獄谷野猿公苑>ニホンザルの一年
https://jigokudani-yaenkoen.co.jp/contents/detail?id=120
他